白州から足を運んだ、標高1,200mの山あいの村。「巨摩ファーム」オーナー・藤原ちはるさんは、この日も循環型の野菜作りに挑んでいた。見慣れない不思議な光景だった。木片や藁、枯れ葉が畑に敷き詰められている。
「生育に必要な微生物を繁殖しやすくする工夫です。化学肥料や堆肥はゼロ。うちの野菜は、人と自然が協力しあって作るんです。」
藤原さんは3年前まで東京で暮らしていた。初めは野菜と雑草の区別もつかず、図鑑片手に農業していた、そう振り返って明るく笑う。3年目の今年は、基本的な流れが見えてきた。残った野菜を畑に還したり、山から枯れ葉を集めたり、自然を汚さず上手に活用し尽くすのだ。
「もちろん水も貴重な自然。ミネラル豊富な湧き水を作物に飲ませています。人が飲んでもおいしいし。 「い・ろ・は・す」も結構飲みますよ。」
生のままで頂いた大根の葉は、圧倒的に味覚が濃い。普通の大根よりずっと大根味が濃密なのだ。
「以前など、試食した子供がママに野菜をおねだりしてました(笑)。上手に育てれば、野菜の味が目覚めるんです。」
「巨摩ファーム」の野菜をたっぷり食べられるレストランが、白州をやや離れた韮崎市にある。「ア・ラ・カンパーニュ」、店長の須藤義廣さんは、藤原さんのご主人だ。
「女房の野菜に惚れ込んで」東京から移り住み、店を構えた。
根菜のカルパッチョを振る舞ってくれた。新鮮な大根が贅沢なほど並ぶ。
「いい野菜をどっさり用意できるウチならではの料理です。いい野菜というのは、僕が思うに土地の味がする野菜のこと。大地の複雑な味わいが、おいしい野菜からは感じ取れる気がします。」
藤原さんが隣でうなずく。須藤さんはそんな野菜の妙味を隠さず濁さず調理することを心がけているという。水も同じだと話してくれた。
「水も土地ごとにそれぞれのおいしさがある。だから、僕はこのエリアのおいしい水を使っています。でないと、料理がみんな同じ味になりますから。」
地域の食材と水、そして手がける人間のこだわりが揃ったとき、とびきりの美味がテーブルの上に花開くのである。
































